いただきものの日本酒が冷蔵庫の奥から出てきて、「これ、まだ飲めるのかな?」と焦ったこと、ありませんか。ラベルに賞味期限が書いていないから、なおさら判断に迷いますよね。実は日本酒の保存でいちばん大切なのは「日数」ではなく、種類に合わせた温度と光のコントロールなんです。しかも、常温でいい日本酒と、必ず冷蔵しないといけない日本酒があって、その正解はほとんど真逆。ここを知らずに全部を常温に置いてしまうと、せっかくの香りがどんどん抜けてしまいます。この記事では、未開封・開封後の飲みごろの目安から、生酒や吟醸酒の扱い、冷凍という意外な楽しみ方まで、家庭でそのまま実践できる保存のコツをまとめました。もう「もったいなかったな」とため息をつかなくて済みますよ。
・未開封の日本酒がおいしく飲める期間の目安(種類別)
・開封後に風味を守る置き方と、飲み切るまでの日数
・生酒・吟醸酒を必ず冷蔵する理由と、常温でいい日本酒の見分け方
・瓶が割れずに楽しめる「みぞれ酒」の冷凍テクニック
日本酒の保存方法、実は種類で正解が真逆?まず知っておきたい基本

日本酒の保存でつまずく最大の原因は、「日本酒」とひとくくりにしてしまうこと。同じ棚に並んでいても、常温でゆったり置いておける日本酒と、冷蔵庫でキリッと冷やし続けるべき日本酒があります。まずはこの大枠をつかんでおくと、あとの判断がぐっとラクになりますよ。
日本酒に賞味期限がないのは「腐りにくい」から
結論から言うと、日本酒のラベルに賞味期限や消費期限が書かれていないのは、法律で表示が免除されているからです。日本酒はアルコールの殺菌作用によって雑菌が繁殖しにくく、すぐに腐敗が進まないため、ワインやウイスキー、焼酎と同じく酒類として賞味期限の表示義務がありません。その代わりに記載されているのが「製造年月」。これは「いつ搾って詰めたか」を示すもので、鮮度を測るいちばんの手がかりになります。とはいえ「腐らない=いつまでもおいしい」ではないのが悩ましいところ。時間とともに色は濃く、香りは重たく変化していきます。だから期限がない分、私たちが製造年月と保存環境で「飲みごろ」を見極めてあげるのが正解なんです。まずは「腐るのを心配するより、風味の変化を防ぐ」と考え方を切り替えると、保存がうまくいきますよ。
「火入れ酒」と「生酒」で日持ちがまるで違う
日本酒の日持ちを決める最大のカギが「火入れ」、つまり加熱殺菌の回数です。一般的な日本酒は貯蔵前と瓶詰め前の2回火入れをしていて、これが常温でも比較的安定して置ける理由。一方、火入れをしていない「生酒」は、酵素や微生物が生きたままなので味の変化が早く、必ず冷蔵が必要になります。目安として、2回火入れの日本酒は製造年月から約1年、火入れが1回の生貯蔵酒も約1年、火入れなしの生酒は約9ヶ月がおいしく飲める期間とされています。ラベルに「生酒」「本生」「要冷蔵」とあれば冷蔵庫コース、と覚えておけば失敗しません。よくあるのが、いただいた吟醸酒を常温の棚に置きっぱなしにしてしまうケース。香りが命のお酒ほど熱と光に弱いので、迷ったら冷蔵しておけば間違いないですよ。
敵は「光・高温・温度変化」の3つ
日本酒を劣化させる三大要因は、光(紫外線)・高温・急な温度変化です。日本酒は日光や高温の影響で味が変わると言っても過言ではないほどデリケートで、直射日光はもちろん、蛍光灯やLEDの光でも「日光臭(ひなたくさい香り)」と呼ばれる劣化臭が出てしまいます。とくに透明や薄い色の瓶は光を通しやすいので要注意。対策はシンプルで、新聞紙で瓶を包む、化粧箱に入れたまま保管する、この2つだけでも守りが段違いになります。台所のコンロ横や、西日の差す窓辺は避けてくださいね。「暗くて涼しくて、温度が変わりにくい場所」を選ぶ——これが日本酒保存のいちばんの土台です。ちなみに、みりんや酢のように種類で常温・冷蔵の正解が変わる調味料と考え方はよく似ています。台所のお酒・調味料をまとめて見直すきっかけにしてみてください。

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正しい置き場所を選べば、香りはちゃんと守れる
ここまで読んで「なんだか気をつけることが多そう…」と感じたかもしれませんが、大丈夫。やることは「光を避けて、涼しい一定温度の場所に、種類に合わせて置く」だけです。常温保存でいい日本酒なら、床下収納や北側の物置、家の中でいちばん涼しくて暗い場所が定位置になります。冷蔵が必要なものは、迷わず冷蔵庫へ。完璧な温度管理ができなくても、「日の当たる場所に置かない」「コンロやレンジのそばに置かない」を守るだけで、劣化のスピードはぐっと遅くなります。正しく保存すれば、思っている以上に長くおいしさをキープできますよ。次の章から、未開封・開封後・種類別に、もう一歩踏み込んだコツを見ていきましょう。
未開封のボトルはどこに置く?冷暗所と冷蔵の見極め
買ってきた、あるいはいただいた未開封のボトル。すぐ飲まないなら、どこに置くのが正解でしょうか。ここは「ラベルの表示」と「置き場所の温度」で判断します。難しく考えず、2つのポイントだけ押さえていきましょう。
常温保存でいい日本酒の置き場所
2回火入れした純米酒や本醸造酒などは、常温での保存が基本でOKです。目安の温度は、純米酒・本醸造酒で20℃前後の常温まで許容範囲。ただし「常温=どこでもいい」ではなく、あくまで「冷暗所」が条件になります。冷暗所とは、温度が1〜15℃程度で一定に保たれ、直射日光の当たらない場所のこと。具体的には、床下収納、北向きの部屋の押し入れ、日の入らない食品庫などが向いています。夏場に室温が25℃を超えるような部屋は「冷暗所」とは呼べないので、その時期だけ冷蔵庫に移すのが安心です。置くときは瓶を立てた状態(縦置き)にしましょう。横に寝かせるとキャップにお酒が触れて味が変わったり、空気に触れる面積が広がって酸化が進みやすくなります。ワインと違って日本酒は縦置きが正解、と覚えておいてくださいね。
吟醸酒・生酒は迷わず冷蔵庫へ
フルーティーな香りが魅力の吟醸酒や、火入れをしていない生酒は、未開封でも冷蔵庫での保存が基本です。目安の保存温度は、吟醸酒で10℃前後、生酒で5℃前後。家庭用冷蔵庫の冷蔵室はJIS規格で2〜5℃と定められているので、とくに生酒の保管にはぴったりです。冷蔵庫内でも、ドアポケットは開閉のたびに温度が上がりやすいので、できれば奥のほうの温度が安定した場所へ。大きな瓶が入らないときは、野菜室(一般に3〜7℃程度)を使うのも手です。「せっかくの吟醸香を守りたい」なら、冷やして光を遮る——このひと手間が効いてきます。冷蔵庫にスペースがなくて常温に置くしかない場合でも、新聞紙で包んで最も涼しい場所に置き、できるだけ早めに飲むようにしましょう。
よくある失敗が、もらった一升瓶を「飾り」として明るい棚の上に立てておくこと。数週間、蛍光灯や日光を浴び続けると、色が黄金色〜茶色っぽく濃くなり、鼻にツンとくる日光臭が出てしまいます。透明瓶の吟醸酒は特に光に弱いので、飾るなら箱ごと、飲むなら早めが鉄則です。
製造年月をチェックして「飲みごろ」を逆算する
未開封の日本酒を上手に使い切るコツは、ラベルの「製造年月」を必ずチェックすること。前述のとおり、2回火入れの日本酒で約1年、生貯蔵酒で約1年、生酒で約9ヶ月がおいしく飲める目安です。これはあくまで適切に保存できた場合の期間なので、「製造年月から半年以上たっているな」と思ったら、早めに開けるサインだと考えてください。買いだめして忘れてしまうのを防ぐには、購入日と製造年月をマスキングテープに書いて瓶に貼っておくのがおすすめ。冷蔵庫や棚を開けるたびに「そろそろ飲もう」と思い出せます。少し時間がたって香りが落ちてしまったお酒も、燗にすると角がとれて飲みやすくなることが多いので、慌てて捨てなくて大丈夫ですよ。
開封したら風味との勝負!飲み切るまでの日数と置き方

栓を開けた瞬間から、日本酒は空気に触れて少しずつ変化していきます。とはいえ神経質になりすぎる必要はありません。「いつまでにどう飲むか」の目安と、風味を守る置き方を知っておけば、最後の一杯までおいしくいただけます。
開封後は「冷蔵で2週間」がひとつの目安
開封後の日本酒は、冷蔵庫で保存して約2週間を目安に飲み切るのがおすすめです。開けた瞬間から風味が変わるわけではなく、2〜3日程度ではほとんど違いを感じません。ただ1週間ほど経つと、少しずつ「違うお酒」のように感じられることがあります。開けたてのフレッシュな味を存分に楽しみたいなら、3〜5日以内がベスト。それを過ぎても飲めなくなるわけではなく、あくまで「風味のピークが過ぎていく」というイメージです。生酒の場合は変化がさらに早いので、開封後はできるだけ数日以内に飲み切るつもりでいましょう。「開けたからには早めに」を合言葉に、少量ずつ買って新鮮なうちに飲むほうが、結果的に満足度は高くなりますよ。
- 飲んだらすぐにキャップをしっかり閉め、空気に触れる時間を減らす
- 瓶口やキャップの内側を清潔に保ち、注ぎ口の汚れを拭き取る
- 瓶を立てて(縦置き)、冷蔵庫の温度が安定した場所で保管する
栓の閉め方ひとつで酸化スピードが変わる
開封後の風味を守る決め手は、実は「空気との接触をどれだけ減らせるか」です。飲むたびにキャップをきっちり閉めるだけでも、酸化のスピードはずいぶん変わります。やりがちなのが、注いだあとキャップをゆるく乗せただけで冷蔵庫にしまってしまうこと。これだと少しずつ空気が入り、香りが抜けて味がぼやけてしまいます。中身が半分以下に減ってきたら、空気に触れる面積が増えて劣化が早まるので、小さめの清潔な瓶に移し替えるのも効果的です。移すときは瓶の口ぎりぎりまで注ぎ、空間(ヘッドスペース)を減らすのがコツ。ひと手間ですが、これだけで最後の一杯の香りがまるで違います。「面倒くさい」と思うかもしれませんが、いい日本酒ほど試す価値がありますよ。
味が落ちたと感じたら「料理」でおいしく使い切る
開封してしばらく経ち、「香りが弱くなったかも」と感じたお酒も、捨てるのはもったいない。加熱調理に使えば、風味がやわらいだ日本酒でもしっかり活躍してくれます。煮物の下味に加えれば魚や肉の臭みを消し、素材をふっくら仕上げてくれますし、あさりの酒蒸しやすき焼きの割り下に使うのも定番です。米を炊くときに大さじ1ほど加えると、ふっくらツヤのあるごはんになりますよ。冷凍しておいたごはんを温め直すときに少し振りかけるのもおすすめ。飲むには物足りなくなったお酒こそ、料理酒として大活躍します。ちなみに、料理専用の「料理酒」は塩分の有無で保存の正解が変わるので、あわせて知っておくとキッチンの管理がぐっとラクになります。

冷蔵庫の扉ポケットや流しの下から、いつ開けたか思い出せない料理酒が出てきて「これ、まだ使えるのかな?」と手が止まったこと、ありますよね。毎日使うわけではないから…
生酒・吟醸酒はなぜ要冷蔵?火入れで変わる日持ちの話
「生酒だけは絶対に冷蔵」とよく言われますが、その理由をきちんと知っておくと、扱いに迷わなくなります。火入れという工程を軸に、種類ごとの日持ちと保存のポイントを整理していきましょう。
火入れ=加熱殺菌が日持ちを左右する
日本酒における「火入れ」とは、60〜65℃前後で加熱して酵素の働きを止め、微生物を殺菌する工程のこと。この火入れを貯蔵前と瓶詰め前の2回おこなうことで、味わいが安定し、常温でも比較的長く保存できるようになります。逆に火入れの回数が少ないほど、フレッシュな味わいが楽しめる代わりに変化が早く、冷蔵が必須になるというわけです。整理すると、2回火入れ=一般的な日本酒(常温可)、1回火入れ=生貯蔵酒(冷蔵推奨)、火入れなし=生酒(要冷蔵)という関係になります。ラベルの「生」の文字は、「加熱していないから冷やしてね」というメーカーからのサインだと考えると分かりやすいですよ。この仕組みを知っておけば、初めて見る銘柄でも「これは冷蔵かな、常温かな」と自分で判断できるようになります。
生酒・生貯蔵酒・吟醸酒は「買ったその足で冷蔵庫へ」が鉄則。持ち帰りに時間がかかる夏場は、保冷バッグや保冷剤を用意しておくと、店から家までの温度上昇を防げます。冷やす習慣がつくと、香りの生き生きしたお酒が長く楽しめますよ。
生酒・生貯蔵酒・生詰め酒の違いと保存
「生」とつく日本酒には、実は3つのタイプがあります。ひとつめが火入れを一切しない「生酒(本生)」で、いちばん繊細。ふたつめが貯蔵前だけ火入れする「生貯蔵酒」、みっつめが瓶詰め前だけ火入れする「生詰め酒(ひやおろしなど)」です。このうち生酒は5℃前後での冷蔵が必須で、開封後は数日以内に飲み切るのが理想。生貯蔵酒・生詰め酒は生酒よりは安定していますが、それでも冷蔵保存が安心です。見分け方は簡単で、ラベルに「要冷蔵」の表示があるものは冷蔵庫へ入れておけば間違いありません。フレッシュでみずみずしい味わいは、きちんと冷やしてこそ。せっかくの搾りたての香りを、常温放置で台無しにしないようにしたいですね。
火入れ酒でも「冷やす」と長持ちする
常温保存でいいとされる2回火入れの日本酒も、実は冷蔵庫で保存したほうが品質は長く保てます。温度が低いほど化学変化はゆっくり進むので、繊細できれいな味わいをキープしたいなら、火入れ酒でも通年で冷蔵保存するのがおすすめです。とくに夏場は室温が高くなり、常温の「冷暗所」を確保するのが難しくなります。冷蔵庫に入る大きさなら、火入れ酒も冷やしておくと安心。逆に、あえて常温〜少し高めの温度でまろやかに熟成させて楽しむ飲み方もあり、これは味の好みによります。「香りとキレを楽しみたいなら冷蔵、まろやかさを楽しみたいなら涼しい常温」と、目的で使い分けると失敗しません。冷蔵庫に余裕があるなら、まずは冷やす、を基本にすると間違いが少ないですよ。
常温・冷蔵・冷凍で日持ちはどう変わる?比較でわかる正解
ここまでの内容を、保存方法ごとにひと目で分かるよう表にまとめました。「結局どこに置けばいいの?」と迷ったときの早見表として使ってください。数字はあくまで、適切に保存できた場合のおいしく飲める目安です。
【食材保存のミカタ調べ】種類×保存場所の日持ち早見表
下の表は、これまで紹介した各種の目安を、公的機関や酒蔵の情報をもとに整理したものです。同じ「日本酒」でも、種類と保存場所で飲みごろの長さがこれだけ変わります。自分の持っているお酒がどれに当てはまるか、ラベルと照らし合わせてみてくださいね。
| 種類 | 未開封の目安 | おすすめ保存場所 |
|---|---|---|
| 普通酒・本醸造・純米酒(2回火入れ) | 製造年月から約1年 | 冷暗所(常温)/夏は冷蔵 |
| 吟醸酒 | 約1年(10℃前後) | 冷蔵 |
| 生貯蔵酒(1回火入れ) | 製造年月から約1年 | 冷蔵 |
| 生酒(火入れなし) | 製造年月から約9ヶ月 | 要冷蔵(5℃前後) |
| 開封後(全種類) | 冷蔵で約2週間 | 冷蔵(生酒は数日) |
常温保存が向くお酒、向かないお酒
表を見て分かるとおり、常温(冷暗所)で置いていいのは2回火入れの普通酒・本醸造酒・純米酒などに限られます。これらは味わいが安定しているので、涼しくて暗い場所さえ確保できれば、わざわざ冷蔵庫を占領しなくても大丈夫。一方、吟醸酒・生貯蔵酒・生酒は常温保存に向きません。とくに生酒を常温に置くのは避けてください。判断に迷ったら、ラベルの「要冷蔵」表示を探すのが確実です。表示がなく、種類も分からない——そんなときは、冷蔵庫に入れておけば失敗はありません。「分からなければ冷やす」を基本ルールにしておくと、大切な一本を無駄にせずに済みますよ。飲食の安全に関わる公的な情報は、酒類を所管する国税庁のサイトなどで確認できます。
季節で変わる保存の使い分け
日本酒の保存は、季節によって少しだけ気を配るとうまくいきます。冬場は室温が低いので、常温保存でいい日本酒なら北側の部屋や床下収納でじゅうぶん。逆に夏場は、エアコンを切ると室温が30℃近くまで上がることもあり、常温の「冷暗所」を家の中に確保するのが難しくなります。この時期は、火入れ酒であっても冷蔵庫に移すのが安心です。梅雨から夏にかけては温度変化も大きいので、「涼しい場所がない」と感じたら迷わず冷蔵庫、と切り替えてください。季節に合わせて置き場所を見直すだけで、同じお酒でも最後までおいしく飲みきれます。冷蔵庫がいっぱいで入らないときは、飲む分だけ買う「こまめ買い」に切り替えるのも、夏を乗り切る賢い方法ですよ。
「日本酒は古いほど価値が下がる」と思われがちですが、実は意図的に低温で長期熟成させた「熟成古酒(長期熟成酒)」というジャンルがあり、あえて年月をかけて琥珀色の深い味わいに育てたお酒も存在します。劣化と熟成の違いは「温度管理されているかどうか」。同じ時間の経過でも、置き方次第で結果は正反対になるんです。
日本酒を冷凍したらどうなる?みぞれ酒とペットボトルの裏ワザ
「日本酒って冷凍してもいいの?」という疑問、意外と多いんです。答えは、やり方さえ守ればOK。しかもシャリッと冷たい「みぞれ酒」という夏にうれしい楽しみ方もあります。注意点とあわせて見ていきましょう。
アルコールのおかげでカチカチには凍らない
日本酒はアルコール度数が15〜16度前後と高いため、家庭用冷凍庫(一般に-18〜-20℃)に入れても、水のようにカチカチには凍りません。凍り始めるのは-10℃以下で、それより低い冷凍庫の温度でも、シャーベット状のシャリシャリした状態で止まります。この性質を利用したのが、次に紹介する「みぞれ酒」。つまり冷凍は、保存というより「新しい飲み方」として活用できるんです。長期保存を目的に冷凍してもいいのですが、風味の面では冷蔵のほうが素直なので、基本は冷蔵、遊び心で冷凍、と考えるのがおすすめ。凍らせても飲めなくなるわけではないので、気軽に試してみてくださいね。
- 日本酒を、耐久性のある厚めのペットボトルに8分目まで移す(膨張分の余裕を残す)
- 立てた状態で冷凍庫に3〜4時間入れ、シャーベット状になるまで冷やす
- グラスに注ぎ、シャリッとした食感を楽しむ(凍りが弱ければ数時間追加)
瓶のまま冷凍は「割れる」危険大
冷凍で絶対にやってはいけないのが、瓶やアルミ缶のまま冷凍庫に入れること。日本酒は完全には凍りませんが、それでも中身が膨張するため、ガラス瓶が割れたり缶が変形したりする危険があります。冷凍庫の中でお酒まみれ&ガラスの破片、という最悪の事態は避けたいですよね。安全に冷凍するなら、割れにくく、においも移りにくい厚めのペットボトルに移し替えるのが正解。そのとき、凍って体積が増える分を見込んで、容器の8割程度までにとどめておくのがコツです。開封済みのお酒を少量だけ凍らせたいときにも、この方法なら安心。ひと手間で、事故もにおい移りも防げますよ。
市販の「みぞれ酒専用」を使えばもっと手軽
「移し替えるのが面倒」という方には、はじめから冷凍を前提に作られた市販のみぞれ酒専用商品が便利です。たとえば京都伏見の玉乃光酒造の「純米吟醸 みぞれ酒」は、紙パックごと冷凍庫で凍らせるだけで、スムージーのようなシャリシャリのみぞれ酒が楽しめます。凍結・解凍しても風味が変わらないよう設計されているので、容器の心配をせずそのまま冷凍庫へ。暑い季節のおもてなしや、お酒好きへの手土産にも喜ばれます。自宅で試すのはちょっと不安、という方は、まずこうした専用商品から入ってみると失敗がありません。冷たくて見た目も涼しげなみぞれ酒は、いつもの晩酌をちょっと特別にしてくれますよ。
やりがちな失敗と、暮らしに合わせた使い分け
最後に、日本酒の保存でありがちな失敗と、ライフスタイル別のおすすめ保存術をまとめます。自分の暮らしに近いパターンを見つけて、今日から取り入れてみてください。
夏場、冷房を切った台所に生酒を数時間置きっぱなしにしただけで、香りが重たく変わってしまうことがあります。とくに気温30℃前後の常温放置は生酒にとって過酷。買ってきたら真っ先に冷蔵庫、を徹底しましょう。「あとで入れよう」の油断が、いちばんの失敗のもとです。
やりがちな失敗トップ3
日本酒の保存で多い失敗を挙げると、①光の当たる棚に飾りっぱなしにして日光臭を出す、②生酒・吟醸酒を常温に置いて香りを飛ばす、③開封後にキャップをゆるく閉めて酸化させる、の3つが定番です。どれも「知らなかった」だけで起きてしまうもので、逆に言えば知っていれば簡単に防げます。①は箱ごと・新聞紙で包んで暗所へ、②はラベルの「要冷蔵」をチェックして冷蔵庫へ、③は飲むたびにキャップをきっちり閉める。この3つを意識するだけで、失敗はぐっと減ります。「もったいないことしちゃった」とがっかりする前に、ぜひ習慣にしてみてください。ちょっとの気づかいで、同じお酒がずっとおいしく飲めるようになりますよ。
一人暮らし・少量派の保存術
一人でゆっくり飲む方や、たまにしか飲まない方は、四合瓶(720ml)や300mlの小瓶を選ぶのがおすすめです。一升瓶(1800ml)はお得に見えますが、飲み切るのに時間がかかり、その間に風味が落ちてしまいがち。小さめの瓶なら冷蔵庫にも収まりやすく、いつも新鮮なうちに飲みきれます。開封後は前述のとおり、小瓶に移し替えて空気を減らすと、さらに長持ち。「今日はこれ」と気分で選べるよう、種類違いの小瓶を数本ストックしておくのも楽しいですよ。少量ずつこまめに買うスタイルは、置き場所にも冷蔵庫のスペースにもやさしく、無駄なく飲みきれる一番の近道です。
家族・来客が多い家庭とギフト保存
来客が多いご家庭や、いただきものの一升瓶がよくあるお宅では、「開けるまで」と「開けてから」で管理を分けるのがコツです。未開封のストックは、種類ごとに常温可・要冷蔵をラベルで確認し、要冷蔵のものだけ冷蔵庫へ。常温可のものは新聞紙で包んで涼しい場所にまとめておきます。大きな一升瓶を開けたら、飲みきれない分を清潔な四合瓶や小瓶に小分けして、空気を減らしてから冷蔵保存すると鮮度が保てます。お歳暮などでいただいた高級な吟醸酒は、迷わず冷蔵庫へ。ギフトの日本酒ほど香りが命なので、届いたらまず種類を確認する習慣をつけておくと安心です。台所の調味料やお酒の保存ルールをまとめて見直したい方は、こちらの一覧も参考にしてみてください。

まとめ:種類を見極めて、最後の一杯までおいしく
日本酒の保存は、難しそうに見えて、突き詰めれば「種類を見極めて、光と高温を避ける」というシンプルな原則にたどり着きます。賞味期限が書いていないのは腐りにくいからで、私たちは製造年月と保存環境を手がかりに飲みごろを見極めればいいだけ。生酒や吟醸酒のように香りが命のお酒は冷蔵庫でキリッと、火入れした落ち着いた味わいのお酒は涼しい冷暗所で、と置き場所を分けてあげるだけで、驚くほど長くおいしさが続きます。
今日からできることは、まず手持ちのボトルのラベルを確認して「要冷蔵」かどうかをチェックすること。そして開封したら、飲むたびにキャップをしっかり閉めて、2週間を目安に飲み切ること。夏場は火入れ酒でも冷蔵庫に移し、余ってしまったお酒は料理に使えば無駄になりません。冷凍を楽しみたいなら、瓶のままではなく厚めのペットボトルに移してみぞれ酒に。ほんの少しの気づかいで、いただきもののお酒も、お気に入りの一本も、最後の一杯まで気持ちよく味わえます。「もったいなかった」とため息をつく日々とは、今日でお別れです。冷蔵庫の一本を、さっそく正しい場所に移してあげてくださいね。
※日本酒の飲みごろや保存期間は種類・保存環境によって変わります。最新の情報は各酒蔵の公式サイトや、酒類を所管する公的機関でご確認ください。

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